ホームページ制作について調べると、「まず目的を明確にしましょう」「ゴールが決まっていないホームページは失敗します」といった話をよく見かけます。
もちろん、問い合わせを増やしたい、採用を強化したい、商品を販売したいなど、明確な成果を求めるのであれば目的設定は重要です。ただ、すべての会社がそこまで明確な目的を決めてからホームページを作らなければならないのでしょうか。
小さな会社や個人事業なら、「会社としてホームページくらい持っておきたい」「名刺を渡した相手が見られる場所が欲しい」「会社名で検索されたときに何も出ないのは困る」という理由でも、十分に作る意味があります。
この記事では、「ホームページは目的を決めてから作るべき」という考え方について、どこまで本当なのかを考えていきます。
「目的を決めてから作る」は基本的には正しい
最初に言っておくと、「ホームページを作る前に目的を決めましょう」という考え方自体は間違っていません。目的によって必要なページ、デザイン、導線、集客方法まで変わるからです。
ただし問題なのは、目的という言葉を必要以上に大げさに考えてしまうことです。
問い合わせを増やしたいなら目的設定は重要
例えば、「ホームページから毎月10件問い合わせを獲得したい」という会社なら、ただ会社案内を作るだけでは不十分かもしれません。
誰に見てもらうのか、どんなキーワードから来てもらうのか、どのサービスへ誘導するのか、問い合わせまでどんな流れを作るのか。こうしたことを考える必要があります。
採用が目的なら作る内容も変わる
採用を強化したいのであれば、会社概要とサービス紹介だけでは足りないことがあります。仕事内容、社員紹介、働き方、福利厚生、会社の考え方など、求職者が知りたい情報が必要になります。
つまり、明確な成果を求めるほど、ホームページの目的も明確にした方がいいということです。
でも、すべての会社に立派な目的が必要なわけではない
一方で、世の中のホームページがすべて集客や採用を目的としているわけではありません。会社として公式な情報を置いておくこと自体に意味があるケースもあります。
特に小さな会社では、「ホームページから何件問い合わせを取る」という数字を設定していなくても困らないことがあります。
「会社として持っておきたい」でもいい
例えば、名刺交換をした相手が会社名を検索したとします。そのときに、会社概要やサービス内容を確認できる公式サイトがあれば便利です。
それだけでもホームページを作る理由になります。必ずしも「売上を20%増やす」のような目的を設定する必要はありません。
「検索されたときに何もないのが嫌」でもいい
会社名を検索しても、SNSや地図情報しか出てこない。あるいは、ほとんど情報が出てこない状態を気にする会社もあります。
「会社名を検索されたときに、ちゃんと公式サイトが出てほしい」という理由も、十分な目的です。
「とりあえずホームページを持つ」はそんなに悪いことなのか
Web制作業界では、「とりあえず作る」という言葉はあまり良い意味で使われません。目的もなく作っても成果が出ない、と言われることがあります。
ただ、会社の公式サイトに限っていえば、“とりあえず持っておく”はそこまで悪い判断ではないと思います。
会社情報を置く場所として機能する
会社名、所在地、電話番号、事業内容、営業時間などは、誰かに確認されることがあります。ホームページがあれば、それらを自社でまとめて公開できます。
毎月問い合わせを生み出していなくても、必要な人が必要なときに会社情報を確認できれば役割を果たしています。
名刺や営業資料から案内できる
名刺にURLを載せておけば、「詳しくはホームページをご覧ください」と案内できます。紙の営業資料だけでは伝えきれない情報も、Web上なら追加できます。
紹介された人へURLを送ったり、取引先へ会社概要ページを案内したりする使い方もできます。
あとから目的が生まれてもいい
最初は会社案内として作ったホームページでも、後から用途が変わることがあります。採用を始めたら採用ページを追加し、Web集客を強化したくなったらサービスページやコラムを増やすこともできます。
最初から将来の使い方まですべて決めておく必要はありません。
問題なのは「目的がないこと」ではなく「期待だけ大きいこと」
「とりあえずホームページを作る」こと自体よりも問題なのは、目的を決めていないのに大きな成果だけ期待することです。
例えば、「とりあえず5ページのホームページを作ったけど、全然問い合わせが来ない」となれば、制作会社と依頼者の認識がズレています。
会社案内サイトを作れば自動的に集客できるわけではない
会社概要、サービス、問い合わせページを作っただけで、突然多くの人がホームページへ訪れるわけではありません。
検索から新規顧客を獲得したいならSEOが必要になることがありますし、すぐにアクセスを集めたいなら広告を使う方法もあります。
「持つこと」が目的ならそれで評価する
一方で、「会社名で検索されたときの公式な確認先が欲しい」という目的なら、問い合わせが月0件でも失敗とは限りません。
目的が会社案内なら、必要な会社情報が分かりやすく掲載され、見たい人が確認できることが一つの成果になります。
小さな会社ほどKPIを無理に作らなくてもいい
ホームページ制作の打ち合わせでは、「KPIを決めましょう」と言われることがあります。問い合わせ数、アクセス数、CV率など、数値で成果を測る考え方です。
もちろんWeb集客をするなら重要ですが、小さな会社の公式サイトすべてに細かいKPIが必要とは限りません。
数字では測りにくい役割もある
例えば、紹介された人がホームページを確認したあと、紹介者から教えてもらった電話番号へ直接連絡したとします。
ホームページの問い合わせ件数には残りませんが、実際には意思決定を支えているかもしれません。
営業を補助しているだけでも価値がある
営業担当者が訪問したあと、相手企業がホームページを確認することもあります。ホームページが商談を作ったわけではありませんが、会社について理解してもらう役割を果たしています。
こうした使われ方まで、すべて数字で測定する必要はありません。
「目的がない」と「何も考えていない」は違う
ここは分けて考えたいところです。「ホームページから売上を○万円増やす」といった明確な目的がなくても、何を掲載するかは考える必要があります。
とりあえず作るからといって、何でも適当に載せればいいわけではありません。
誰が見るのかは考えた方がいい
顧客が見るのか、取引先が見るのか、求職者が見るのか。主に見る人が分かれば、必要な情報も決めやすくなります。
一人に絞り込む必要はありませんが、「どんな人が会社を調べる可能性があるか」くらいは考えておくとよいでしょう。
何を知ってほしいかも整理する
会社名、事業内容、所在地、実績、代表者、問い合わせ方法など、伝えたい情報を整理します。
これは大げさなマーケティング戦略ではありません。会社案内を作るための最低限の情報整理です。
会社案内として作るなら必要十分でいい
ホームページに明確な集客目標がないのであれば、大規模なサイトを作る必要もありません。
会社について一通り分かる状態を作り、それを維持していくという考え方でも十分です。
基本的な5〜6ページでも役割は果たせる
例えば、次のような構成です。
TOPページ
サービス・事業内容
会社概要
実績
よくある質問
お問い合わせ
会社によって必要なページは変わりますが、この程度でも公式サイトとして十分なケースはあります。
ページ数より情報が分かることが大切
10ページあるから5ページより優れている、ということではありません。必要な情報が5ページで伝わるなら、それで問題ありません。
ページ数を増やすためだけに、薄い内容のページを大量に作る必要もありません。
最初からSEOや広告をやらなくてもいい
ホームページを作ると、SEOやWeb広告も一緒に始めなければならないように感じる方もいるかもしれません。
しかし、会社案内として使うことが目的なら、必ずしも最初から集客施策を行う必要はありません。
指名検索で見つかれば十分な会社もある
営業や紹介を中心に仕事を獲得している会社なら、会社名で検索されたときにホームページが見つかることの方が重要な場合があります。
大量の検索流入を獲得しなくても、必要な人に見てもらえれば役割を果たします。
必要になったら後から集客を始められる
将来、新規顧客を増やしたくなったらSEOを始める。広告を使いたくなったら専用のランディングページを作る、といった方法もあります。
ホームページを作ることと、本格的なWeb集客を始めることを同時にする必要はありません。
最初からブログを用意しなくてもいい
ホームページ制作では、「お知らせ」や「ブログ」を作ることがあります。ただ、更新する予定がないのであれば、必ずしも最初から用意する必要はありません。
更新されないブログがあることより、サービス内容や会社情報が正しいことの方が重要です。
SEOをするならブログが役立つことはある
検索から新しい顧客を集めたい場合には、検索される疑問に答える記事を作る意味があります。
実際、ホームページ内に関連情報を増やすことで、検索から見つけてもらえる機会を増やすことができます。
会社案内なら無理に書かなくてもいい
一方、紹介や営業後の確認先として使うサイトなら、毎週ブログを書く必要はありません。
会社情報に変更があったときだけ修正するという運用でも問題ありません。
「まず目的を決めましょう」が負担になることもある
ホームページ制作を検討している人の中には、「目的は何ですか?」と聞かれて困る人もいます。
「いや、会社としてホームページがないから欲しいだけなんだけど」と思うこともあるでしょう。
無理に立派な目的を作る必要はない
「ブランド認知度向上」「新規顧客獲得」「採用強化」といった言葉を無理に選ぶ必要はありません。
「会社を調べられたときに見てもらうため」で十分です。それも立派なホームページの役割です。
制作会社側が目的を一緒に整理すればいい
依頼する側が、ホームページ制作について詳しいとは限りません。何を載せるべきか、どんな使い方があるかまで最初から理解している必要はありません。
制作会社が話を聞きながら、「それなら会社案内として作りましょう」「この情報は載せておいた方がよさそうですね」と整理すればいいと思います。
ただし高額なホームページなら話は変わる
「とりあえず持つ」ために数百万円をかける必要があるかは、別の問題です。目的がシンプルなら、ホームページに必要な予算もそれに合わせて考えた方がよいでしょう。
何に費用を払っているのかを確認することが重要です。
集客戦略まで含むなら費用が上がる
市場調査、競合分析、SEO、撮影、コピーライティング、広告設計などまで行うなら、制作費は高くなります。
Webを重要な営業チャネルにしたい会社なら、それだけ投資する価値があるかもしれません。
会社案内なら過剰な機能は必要ない
一方、「会社名を検索されたときに公式サイトがあればいい」という目的なら、複雑なシステムや大規模なマーケティング設計は必要ないことがあります。
目的が小さいから悪いのではなく、目的に合った規模で作ることが大切です。
ホームページの目的は後から変わってもいい
会社の状況は変わります。開業時には会社案内だけで十分だった会社が、数年後に採用を強化したり、新規顧客を増やしたくなったりすることもあります。
ホームページも、それに合わせて変えていけばいいものです。
会社案内から集客サイトへ育てることもできる
最初は数ページのシンプルなサイトでも、後からサービスページや実績ページ、コラムなどを増やせます。
最初から完成形を作ろうとしなくても、必要になったタイミングで拡張できます。
会社の変化に合わせて役割も変わる
最初は営業先への会社案内だったホームページが、採用にも使われるようになるかもしれません。
さらに数年後には、検索から問い合わせを獲得する重要な営業チャネルになる可能性もあります。
ESコンピューティングでは「とりあえず持ちたい」でも問題ありません
ESコンピューティングでは、ホームページ制作を相談いただいたときに、必ず大きな目標を設定しなければならないとは考えていません。
「会社としてホームページくらい持っておきたい」という理由でも問題ありません。
目的に合わせて必要な規模を考える
ホームページから積極的に問い合わせを増やしたいのであれば、それに合わせた内容を考えます。
一方、会社案内として使いたいのであれば、必要な会社情報やサービス内容を整理し、まずは公式サイトとして使える状態を作ります。
必要になったら後から変更できる
ホームページ公開後にサービスが増えたり、掲載したい内容が変わったりすることもあります。
ESコンピューティングでは公開後の管理や修正にも対応しているため、最初からすべてを決める必要はありません。
まとめ|「立派な目的」がなくてもホームページは作っていい
「ホームページは目的を明確にしてから作りましょう」という考え方は、基本的には正しいものです。特に、問い合わせ、売上、採用など明確な成果を求めるのであれば、目的を決めずに作るのはおすすめしません。
ただし、すべての会社が大きな成果目標を持ってホームページを作る必要はありません。
「会社として公式サイトを持っておきたい」
「名刺を渡した相手に見てもらいたい」
「紹介された人が会社を確認できるようにしたい」
「会社名を検索されたときに何も出ないのは困る」
それでも十分です。
むしろ、小さな会社にとっては、無理に大きな目的を作って過剰なホームページを作るより、まず必要な情報をきちんとWeb上に置いておく方が現実的なこともあります。
目的は後から変わっても構いません。必要になったらページを増やし、集客を始め、採用情報を追加すればいい。
「目的が決まっていないからホームページを作れない」ではなく、「今の会社に必要な役割は何か」くらいから考える。
小さな会社なら、まずは「とりあえず持っておこう」から始めてもいいと思います。




