ホームページ制作の打ち合わせでは、「御社の強みは何ですか?」「競合他社との違いはありますか?」と聞かれることがあります。マーケティングでは差別化が重要だと言われるため、制作会社としては自然な質問です。
ただ、実際に聞かれた側からすると、「特にないんだけど……」となることも少なくありません。地域で普通に仕事をしている会社ほど、「他社には絶対できないこと」を持っているとは限りません。
だからといって、ホームページが作れないわけではありません。他社に絶対負けない強みを無理やり作らなくても、会社についてきちんと伝えるホームページは作れます。
この記事では、ホームページ制作でよく聞かれる「強み」「差別化」について、本当に必要なのかを考えていきます。
ホームページ制作で「強み」を聞かれる理由
そもそも、なぜ制作会社は強みを聞くのでしょうか。理由は単純で、他社との違いが分かれば、ホームページで何を大きく見せるべきか決めやすくなるからです。
例えば「最短即日対応」が強みなら、スピードを大きく打ち出せます。「創業100年」なら、歴史や信頼を軸にサイトを構成できます。
違いがあるとキャッチコピーを作りやすい
競合との違いが明確なら、ホームページのファーストビューも作りやすくなります。「○○専門」「地域最大級」「24時間対応」のように、一言で特徴を伝えられるからです。
制作会社からすると、こうした分かりやすい特徴がある方が企画しやすいのは確かです。ただ、作りやすいことと、強みが絶対に必要なことは別です。
集客を重視するほど差別化は重要になる
検索や広告から、まったく自社を知らない人を集めたい場合は、他社との違いが重要になります。複数の会社を比較している人に「なぜこの会社を選ぶのか」を伝える必要があるからです。
特に競争の激しい業界では、料金、対応内容、実績、専門性など、何らかの判断材料を分かりやすく提示した方が選ばれやすくなります。
でも「唯一無二の強み」がある会社ばかりではない
実際のところ、世の中の会社の多くは完全に独自のサービスを提供しているわけではありません。工務店、税理士、塗装会社、美容室、制作会社など、同じようなサービスを提供する会社はたくさんあります。
それでも、それぞれの会社にお客様がいて、仕事は成立しています。つまり、唯一無二でなければ選ばれないわけではありません。
「丁寧な対応」はどの会社も言っている
強みを聞かれて、「丁寧な対応です」「お客様に寄り添います」「高品質です」と答える会社は多いと思います。それ自体が嘘というわけではありませんが、多くの競合も同じことを言っています。
そこで制作会社から「それでは差別化になりません」と言われることがあります。しかし、本当に丁寧な対応を続けていて、それがお客様から評価されているなら、無理に別の特徴を発明する必要はありません。
普通にきちんと仕事をすることも価値になる
時間を守る。連絡を返す。約束した内容をきちんと対応する。分からないことを説明する。
特別なことではないように見えますが、お客様にとっては重要な判断材料です。派手な強みがなくても、どんな姿勢で仕事をしている会社なのかを具体的に見せることはできます。
無理に「強み」を作ると逆に不自然になる
ホームページを作るために、存在しない強みを無理やり作る必要はありません。むしろ、それをやるとホームページだけが実際の会社より大げさになることがあります。
「地域No.1」「圧倒的品質」「他社にはできない技術」など、根拠が弱い言葉を並べると、かえって信用を落とす可能性もあります。
「業界最高水準」のような言葉を作る必要はない
マーケティングでは、分かりやすい言葉ほど強く見えます。そのため、何とかして数字やNo.1表現を作りたくなることがあります。
ただ、根拠のない表現はおすすめできません。普通の会社を、ホームページの中だけ特別な会社に見せることが目的ではないからです。
実際の会社とホームページがズレる方が問題
ホームページでは「迅速対応」と書いているのに、問い合わせへの返信に1週間かかる。あるいは「柔軟な対応」と書いているのに、決められた範囲以外は一切対応しない。
こうした状態なら、立派なキャッチコピーがあっても意味がありません。ホームページは会社を良く見せる場所ではありますが、実態から離れすぎないことも大切です。
他社との違いは「強み」以外にもたくさんある
「他社に絶対負けないものは何ですか?」と聞かれると難しく感じます。しかし、お客様が会社を選ぶ理由は、そんな大げさなものばかりではありません。
例えば、次のような違いでも十分に判断材料になります。
対応地域
料金体系
営業時間
納期
対応できる仕事の範囲
代表者やスタッフの人柄
これまでの実績
相談方法
アフターサポート
会社の規模や体制
一つひとつを見ると特別ではありません。それでも複数の条件が組み合わさることで、その会社らしさが出てきます。
料金体系も立派な違いになる
例えば、買い切り型が一般的な業界で月額制を採用している。あるいは、料金をすべて公開している。
それだけでお客様にとっては比較材料になります。「世界で唯一の仕組み」でなくても、競合と違う部分は普通に存在します。
対応範囲にも会社らしさが出る
「小さな修理だけでも対応する」「法人専門」「地域を限定して訪問する」といった対応範囲も違いになります。
すべてのお客様に選ばれる必要はありません。自社に合うお客様から見て分かりやすい特徴があれば、それで十分な場合があります。
お客様は「強み」だけで会社を選んでいるわけではない
実際に仕事を依頼するとき、必ずしも競合5社の強みを一覧表にして比較しているわけではありません。紹介されたから、近かったから、話しやすかったから、タイミングが合ったからという理由で決まることもあります。
特に小さな会社の取引では、合理的な比較だけでは説明できない選ばれ方も多くあります。
「なんとなく安心できた」で決まることもある
ホームページを見て、代表者の顔が分かった。実績が掲載されていた。会社概要もきちんとしていた。
特別な強みを感じたわけではなくても、「ここなら普通にお願いできそう」と思って問い合わせることがあります。これは決して弱い選ばれ方ではありません。
紹介なら差別化より確認が重要になることもある
紹介で会社を知った場合、すでに紹介者から一定の信用が与えられています。その人がホームページを見る目的は、競合との徹底比較ではなく「どんな会社なのか確認すること」かもしれません。
この場合、無理に他社との違いを叫ぶよりも、会社情報やサービス内容をきちんと掲載する方が重要です。
強みが思いつかない会社は何を書けばいい?
「強みがない」と感じている場合でも、ホームページに載せる内容がなくなるわけではありません。まずは実際に行っていることを整理すれば十分です。
何を提供しているのか、どこまで対応するのか、どんな人が仕事をするのか。それだけでも会社についてかなり伝えることができます。
サービス内容を具体的に書く
「○○業をしています」だけではなく、具体的にどんな仕事を依頼できるのかを書きます。対象となるお客様、対応地域、依頼の流れなども分かると、問い合わせしやすくなります。
強いキャッチコピーがなくても、サービスについて詳しく分かるホームページは、それだけで利用者にとって価値があります。
実績を見せる
実際に行った仕事は、作ったキャッチコピーより説得力を持つことがあります。施工事例、制作実績、導入事例などを掲載できるなら活用するとよいでしょう。
「高品質です」と書くよりも、実際の仕事を見てもらった方が伝わりやすい業種もあります。
お客様からよく言われることを考える
自分では普通だと思っていることが、お客様から評価されている場合があります。「説明が分かりやすい」「連絡が早い」「相談しやすい」と言われているなら、それも会社の特徴です。
ただし、それを無理に「業界No.1の対応力」のような大げさな表現へ変換する必要はありません。実際に言われていることを、そのまま丁寧に伝える方が自然です。
「強み」ではなく「選ぶための情報」と考える
ホームページ制作で「強みを出しましょう」と言われると、自分たちだけが持っている特別な能力を探してしまいがちです。
それよりも、お客様が自社を選ぶかどうか判断するために必要な情報を出すと考えた方が分かりやすいと思います。
合う人と合わない人が分かればいい
例えば「料金は安くありませんが、相談から施工まで代表者が対応します」という会社があったとします。価格重視の人には合わないかもしれませんが、担当者が変わらないことを重視する人には合います。
すべての人に良く見せる必要はありません。自社の特徴を正確に出すことで、合うお客様に選んでもらいやすくなります。
弱点に見える部分も伝え方次第
小さな会社なら、「スタッフが少ない」という弱点があるかもしれません。一方で、担当者が変わりにくい、代表者が直接対応できるという見方もできます。
ただし、何でも無理にメリットへ言い換える必要はありません。事実をどう伝えればお客様に分かりやすいかを考えることが大切です。
ホームページで大切なのは「何の会社か」が分かること
強みに悩みすぎて、肝心の事業内容が分かりにくくなるホームページもあります。抽象的なキャッチコピーが大きく表示されていても、何をしている会社なのか分からなければ困ります。
特に小さな会社の公式サイトなら、まずは「何を頼める会社なのか」が分かることを優先した方がよいでしょう。
かっこいいコピーより具体的な説明
「未来を創る」「地域と共に歩む」「新しい価値を提供する」といった言葉だけでは、具体的な事業内容までは分かりません。
会社の理念として使うのは問題ありませんが、それとは別に「○○市で住宅塗装を行っています」「法人向けに○○を提供しています」のような説明がある方が親切です。
初めて見る人の目線で考える
会社側にとって当たり前のことでも、初めて見る人には分からないことがあります。業界内では有名なサービス名でも、一般のお客様には意味が伝わらないこともあります。
「強みをどう見せるか」より先に、初めて見る人が会社について理解できるかを確認した方がよいでしょう。
Web集客を本気でするなら差別化は考えた方がいい
ここまで「無理に強みを作らなくてもいい」と説明してきましたが、差別化が不要という意味ではありません。
ホームページから積極的に新規顧客を獲得したい場合は、競合との違いを整理することが重要になります。
比較される市場では違いが必要になる
例えば、同じ地域に似たサービスを提供する会社が20社あるとします。検索した人がその中から選ぶのであれば、「なぜこの会社なのか」が分からないと選びにくくなります。
料金、実績、専門分野、対応スピードなど、お客様にとって意味のある違いを整理する価値があります。
それでも「唯一無二」である必要はない
競合との差別化を考えることと、誰にも真似できないサービスを作ることは別です。同じサービスでも、ターゲット、料金、対応範囲、サポートなどの組み合わせで違いは生まれます。
世界で一社だけの会社になる必要はありません。 比較されたときに、自社がどんな会社なのかが分かれば十分なこともあります。
制作会社に「強みを3つ出してください」と言われて困ったら
ホームページ制作のヒアリングシートなどで、「他社に絶対負けない強みを3つ挙げてください」と書かれていることがあります。
すぐに答えられなくても、ホームページ制作ができないわけではありません。
「特に思いつかない」と伝えていい
無理に回答を作るより、「自分たちでは特別だと思っていることはありません」と伝えても問題ありません。
そこから制作会社が仕事内容やお客様について質問し、一緒に特徴を整理すればよいからです。
制作会社側が掘り下げる仕事でもある
お客様自身が自社の特徴を言語化できていないことは珍しくありません。毎日やっていることほど、それが特徴だと気づきにくいものです。
制作会社がヒアリングしながら、「この対応方法は他社と少し違いますね」「ここはお客様にとってメリットになりそうですね」と整理することも、制作の仕事の一つだと思います。
ESコンピューティングでも無理に強みを作ることはしません
ESコンピューティングでは、ホームページ制作時に事業内容や特徴についてお伺いします。ただし、「他社に絶対負けない強みがないと作れません」ということではありません。
普通に事業をしている会社なら、まずはその会社について正しく分かるホームページを作ることが大切だと考えています。
実際にある特徴を整理する
サービス内容、対応地域、料金、実績、仕事の進め方などを伺いながら、ホームページに必要な情報を整理します。
その中で特徴が見つかれば、分かりやすく伝えます。見つからないからといって、存在しない強みを作る必要はありません。
会社案内なら「普通に分かる」で十分なこともある
会社名を検索されたときの公式な確認先として使うホームページなら、他社との徹底的な差別化よりも、会社についてきちんと分かることが重要です。
何をしている会社なのか。どこにあるのか。どんな人が対応するのか。どうやって問い合わせるのか。
こうした基本情報が整理されているだけでも、ホームページは十分役割を果たします。
まとめ|強みを無理に作るより、会社をそのまま分かりやすく伝える
ホームページ制作では、「強みを出しましょう」「他社と差別化しましょう」と言われることがあります。Webから積極的に集客したいのであれば、競合との違いを整理することは重要です。
ただし、すべての会社が唯一無二の強みを持っている必要はありません。 普通にきちんと仕事をしている会社が、無理に特別な会社を演じる必要もありません。
料金、対応地域、実績、スタッフ、サービス内容、仕事の進め方。こうした普通の情報をきちんと伝えるだけでも、その会社らしさは出てきます。
そして、お客様が会社を選ぶ理由も、必ずしも「業界唯一の強み」ではありません。紹介、距離、価格、タイミング、話しやすさ、安心感など、さまざまな要素が組み合わさって決まります。
「他社に絶対負けない強みがないから、ホームページに書くことがない」ではありません。
まずは、今やっている仕事をそのまま整理する。どんなお客様に、何を提供し、どんな対応をしているのかを分かりやすくする。
その上で、本当に他社との違いがあるなら伝えればいい。
ホームページのために強みを作るのではなく、実際の会社を分かりやすくWeb上に表現する。 小さな会社のホームページなら、それくらいの考え方でも十分だと思います。




